CMFは、プロダクトデザインの過程においてとても重要な要素だが、色ありきで始まる素材へのアプローチだけでは十分満たされないケースもある。昨今では、サステナブル、SDG’sといったキーワードが社会通念となり、ものを創出する際にまずは「素材」そのものと真摯に向き合うことが以前より多く求められるようになってきた。素材を通じて見える新しい景色とは何か?まったく新しいデザインアプローチを求めたい。そんな多くの企業やクリエイターに素材提案を行い、諸々の問題解決に伴走し、さまざまな商品開発にユニークな手法でサポートを行っているのが、マテリアルコネクション東京だ。
ニューヨークを本拠地に世界展開しているこの会社の東京六本木にあるショールームをお訪ねして、その独自のアプローチとソリューションについて、代表取締役の吉川久美子さんと、カスタマーリレーションシップリーダーの濱田裕子さんに詳しく伺った。
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Every Idea Has a Material Solution® |
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素材をどうものづくりに繋げていくかのソリューション・・・たいへんユニークなアプローチですね。詳しい内容をお聞かせいただけますか? |
濱田 弊社では、Every Idea Has a Material Solution®というスローガンを掲げて、クリエイターやデザイナーの方々の頭の中にあるアイディアを、実際にプロダクトとして世に出すための、素材に関するさまざまなソリューションを行っています。
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デザイナーの方々は、まったくの無の状態から、何らかのマテリアル(素材)を使って形にしていかなければならないですね。どういう質感で、どんな色の商品にするか? どんな形状にするのか?それは素材次第とも言えると・・・。 |
濱田 はい。弊社では企業の商品開発を行っている方、クリエイターやデザイナーの方たちに対して、アイディアを実現するためのお手伝いを行っています。
ここを訪れる方たちの中には、まだアイディアにまで具現化されていない、もやもやした想いを抱えた人も多くいらっしゃいます。そういった人が、ここを訪れ、さまざまな素材に触れることによって、創作意欲がインスパイアされ、従来にはないアイディアが湧いてくるとおっしゃいます。
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世界に広く拠点を展開されているんですね。 |
濱田 1997年にニューヨークで活動を開始し、プロダクトや空間をつくりたいという方々に対して、このように素材の提案をずっと続けてきました。拠点はどんどん世界に広まり、東京は2013年にスタート、今年で7年目を迎えます。
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マテリアルコネクションの活動の内容を教えていただけますか。 |
濱田 まず1つ目が、マテリアルライブラリーです。図書館のように素材がたくさん並べてあって、お客様ご自身が、ここでいろいろな素材と出会い、興味を持った素材を扱うメーカーとコンタクトを取っていただけるようになっています。
2つ目が、素材提案のコンサルティング。商品開発などのプロジェクトが発生したときに、マテリアルコネクションの中にストックされている素材や新たに調査したものからさまざまな提案を行い、ご相談に応じています。
3つ目は、ライブラリーに登録している素材メーカーに対するサービスで、顧客開拓の一助となるように、製品メーカーとの橋渡し役を行います。素材メーカーにとって今まで販路のなかった業界へのコンタクトを探し出し、素材の用途を新しく広げていくお手伝いをしています。
このように、素材を知りたい、それを使って製品をつくりたい製品メーカーと、自社でつくった素材をいろいろな方に使っていただきたいという素材メーカーが出会う場所として、ご活用いただいています。
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3000点もの新しい素材が並ぶ 素材のアーカイブが魅力的な
マテリアルライブラリー |
濱田 マテリアルライブラリーは世界共通のサービスになっています。会員になっていただくと、いつでもいらして、自由にご覧になれます。使っていただいている業界は、建築関係、インテリア、自動車、家電、スポーツ用品、パッケージ関連、ファッションと、幅広く、職種としてもさまざまです。一番多いのは、デザイナー、そして商品開発や企画に携わる方、材料メーカーの技術の方、新しい製品を探している方など多岐にわたります。
入会後は世界中の素材ライブラリーが自由に閲覧できるオンラインデータベースへログインすることができ、情報収拾を行っていただけるシステムが利用できます。
月30点ほど、新しい素材を、会員の皆様に発信します。東京のライブラリーでは現在3000点ぐらい展示されています。
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どんな素材がここにはありますか? |
濱田 ポリマー(石油素材)が45%を占めていて、あとは自然素材が25%、そのほかに、金属、ガラス、カーボンベース、セメントベース、セラミックなどです。
それをサンプルの形でアーカイブし、ストックしています。具体的には、スポーツ業界でよく使われている汗を吸収する素材だったり、シューズの底に使われる緩衝材、自動車の内装に使われる木目のパネルやレザーなどさまざまです。
また、ライブラリーでは、サンプル取り寄せの代行を行ったり、貸し切りにもでき、素材に関する会合や勉強会にも利用されています。
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