
19世紀後半から20世紀初頭にかけて、江戸幕府開国後の日本では交易がさかんになり、多くの美術・工芸品が海外に渡りました。西洋では浮世絵をはじめとする日本美術が大流行し、西洋の美意識に大きな変化をもたらしました。「ジャポニスム」誕生です。
江戸後期から明治初期にかけての浮世絵においては、多色刷りの技術が開花し、豪華絢爛で極彩色の、あでやかな美しい色づかいを生み出しました。これらが西洋の芸術家の目に触れ、大きなムーブメントを起こしたのです。
大胆な構図と色づかい、独特の装飾文様…当時のアーティストたちはこぞって、作品のなかにそれらをとり入れています。
印象派の旗手であったクロード・モネの≪ラ・ジャポネーズ≫もそのひとつです。モネは、浮世絵のコレクターで日本美術の愛好家であったと言われています。
本展覧会開催にあたり、一部の赤い絵の具に亀裂や剥離が見られることから、修復プロジェクトが立ち上がりました。修復は、絵の具に色を与える顔料分析からスタートしました。
ヨーロッパでは、18世紀ごろより化学産業が発展し、絵の具に使用される顔料が増え始め、19世紀にはさらに発展を遂げます。モネをはじめとする印象派の画家たちも昔からある絵の具とともに、新しい顔料入りの絵の具を使うようになりました。当時使われた絵の具の顔料分析は修復のプロセスのなかでも重要な作業のひとつでした。
1年の時を経て、見事に蘇ったモネの最初の妻・カミーユ夫人の美しい姿。額装すると3メートル近くにも及ぶというこの大作は見逃せません。
また、本展覧会でのみどころは、印象派と浮世絵の競演です。
印象派の画家たちに影響を与えた浮世絵をはじめとする日本美術と対比して展示されており、たいへんに興味深い企画となっています。

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詳しくはプレゼント欄を参照ください。 |