1953年の設立から、今年で63年を迎える日本流行色協会(JAFCA)。カラーコーディネーターのテキストでもおなじみですが、今回はそのお仕事を知りたくて、現場を訪ねてみました。第一印象は、「さすが、カラーのトレンド情報を発信するオフィス!」・・・カラフルなインテリアに、入口からテンションは上がりっぱなしです。JAFCAのカラーストラテジークリエイターで、「流行色」エディターでもある、小木曽珠希さんにお話を伺いました。 |
インターカラーの発起国のひとつは、
日本だった! |
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テキストでもおなじみのJAFCAさんですが、カラーが好きな皆様のために、インターカラーとJAFCAさんとの関わりや、流行色がどのように決定されどのようにプロモートされていくのかを教えていただけますか? |
世界で唯一の、国際的流行色予測機関であるインターカラー(国際流行色委員会)は、現在ヨーロッパの先進国を中心とした国々が15ヵ国(2016年9月現在)加盟しています。最近ではアジア市場も注目されているので、アジア諸国の加盟も増えてきました。そこに日本代表として参加しているのがJAFCAです。
インターカラーは1963年、発足しました。JAFCAの創立が1953年ですから、その10年後のことです。発起のときはまだ3ヵ国で、フランスとスイス、そして日本も実はその中に入っていたんです。 |
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えっ?意外! それはすごいですね! |
そこにはいろいろな経緯があるようですが、東京オリンピック(1964年)の前年で、当時は、大量生産&大量消費の時代に向かっていて、日本がオリンピック景気に湧いていました。右肩上がりの元気で意欲的な時代だったのも一つの要因かもしれませんね。 |
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2020年の東京オリンピックに向けて、また好景気のリバイバルが来るといいのですが・・・。ところで、戦後、欧米の真似からスタートしたという印象が強い日本が、なぜ発起国の一員となったのか、そのあたりのエピソードを教えていただけますか? |
イタリアで第7回国際色彩会議が行われた際、「色彩学の学術的交流に加えて、ファッションカラーの情報交流の場を組織しよう!」という3ヵ国の意見が強く一致して世界に呼びかけたのがインターカラーの発足につながったそうです。日本としてもどんどん海外の情報を吸収してビジネスに活かしていきたいという意欲にあふれていたんでしょうね。 |
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当時、日本がカラーの世界でイニシアチブを取っていたというのは、うれしいことですね。 |
インターカラーができる前からすでに設立されていたJAFCAでしたから、もともとあった、国をあげて戦後の粗悪な色を改善していきたいという動き(グッドテイスト運動)や、先進国である欧米の色彩を研究して輸出製品の色に反映していこうというビジネス的な動きを受けて、そのニーズを形として実現させたいと感じていたのでしょう。当時の記録を見ると、世界レベルで情報をクリエイトすることへの熱い思いが感じられます。 |
インターカラーが決まったあと、日本向けのトレンドはJAFCAが発信 |
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1963年の当時から、色をビジネスに活かしていただいていたなんて、うれしい限りです。ここで、あらためてトレンドカラー(流行色)の流れを教えていただけますか? |
実シーズンの2年前に、インターカラーの会議で国際的なトレンドカラーを選定します。特にこの時点では分野を分けていませんが、世界のトレンドの考え方の「軸」や「コンセプト」に重点を置いています。ある意味、「トレンドセッター」的な役割ですね。それらの情報を各国が持ち帰り、それぞれの国で活用していきます。
日本ではJAFCAが、実シーズンの1年半前に、各業界で活躍されている専門委員による色選定会議を開催し、インターカラーの情報に加え、国内の動向なども加味しながら色出しを行い、(1)プロダクツ&インテリア、(2)メンズファッション、(3)レディスファッション、(4)メイクアップの4分野に分けて各業界にトレンド情報を発信しています。 |
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国内でトレンドカラー情報を発信する際、インターカラーと国内市場の情報を加味する割合はどのくらいなのでしょうか? |
正直その時々で全然違いますね。インターカラーの影響を大きく受けるときもあれば、エッセンス程度に収まることも。たとえば、インターカラーで取り上げられた色は、日本市場ではすでに最近出てしまっていたり、あるいは、大震災などの予測不可能な天変地異が起きたときなどは、国内向けトレンドカラーの傾向は、インターカラーの傾向と大きく変わる場合もあります。
インターカラーとは違い、国内向けに4つの分野別に分けている理由は、それぞれの分野ごとにトレンドの長さやベーシックカラー的な要素もかなり違うからです。そこでより伝わりやすく、使いやすく、共感を得ていただきやすいように、発信する際は、JAFCAとしてアレンジをしています。
その後、実シーズンの1年前あたりから各メーカーで商品企画が始まり、商品化され、シーズンには生活者に商品として届く、という流れになっています。JAFCAとしては、「時代の流れ」を具体的な「色」として提案していますが、それを各メーカーさんやデザイナーさんがどれだけその商品化の際のコンセプトづくりに活かすかは、それぞれに合わせて調整していただいています。 |
ファッショントレンドカラーについてのより詳しい話はこちらから |