eラーニングとの併用で、習得した知識・スキルを「見える化」する
株式会社ファンケル ファンケル大学教育企画部
教育企画運営グループ 久保課長・関井さん
株式会社ファンケル
1981年設立。化粧品・健康食品の研究開発、製造および販売を行う。
肌に負担となる成分は一切使用せず、肌に本当に必要なものしか入れない「無添加化粧品」を開発。
また、それまで高額だった健康食品を「サプリメント」として世の中に定着させるなど、「世の中の不安や不便などの『不』を解消したい」という想いに根ざした事業展開を行っている。
全ての課長職・係長職を対象にビジネスマネジャー検定試験を導入している株式会社ファンケル。
次世代の経営を担う課長・係長にビジネス全般に関する知識を幅広く身につけてもらう目的で、社内教育の一環として取り組んでいる。
合否判定により習熟度が明確に把握できること、客観的評価ができることが検定導入の決め手となった。
2019年の導入以降、回が進むごとに社内の認知度も上がり、自発的、積極的に学習を深める社内風土が醸成されている。
同社に、導入の背景や検定試験の魅力をおうかがいした。
目次
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■課題は次世代経営層の育成。検定試験導入で自律的な学習風土を醸成する
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■丁寧な社内コミュニケーションで、検定試験導入への意欲を高める
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■幅広いマネジメントスキルを身につけ、経営参画への意欲づけを図る
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■受験した社員の声
課題は次世代経営層の育成。検定試験導入で自律的な学習風土を醸成する
「次世代の経営を担う課長たちに幅広い知識を身につけさせたい」
―社内教育による次世代の育成は多くの企業が課題感をもって取り組んでいますが、御社が検定試験を導入された背景を教えていただけますか。
当社は2013年に、社内教育の専門機関「ファンケル大学」を開校し、スタッフに様々な学びの機会を提供してきました。そんな中でビジネスマネジャー検定試験を導入した背景には、社長・島田の「社員が将来困らないように、勉強の機会を与えたい」という思いがあります。
特に、次世代の経営を担う課長たちに、マーケティングや経営戦略、人事労務、会計、社会や経済に対する知識などを幅広く身につけさせたいとの思いから、2019年度から、全ての課長職を対象にビジネスマネジャー検定試験を導入しています。(その後、2022年度より受験対象を係長職へ拡大。)
“学習する風土”の醸成には、知識・スキルのレベルを知ることが必要
―人材育成において、御社ではどのような課題があったのでしょうか。
収益力の向上や海外事業の本格展開に向けて、今まで以上に社員一人ひとりが成長できるよう、学習する風土の醸成が課題となっていました。そこで、もっと広い知識やスキルを自発的に学ぶ姿勢をもってもらいたいと考え、まずは全てのスタッフを対象としたeラーニングを導入しました。
しかし、eラーニングには評価手段がなく、自分たちの知識・スキルのレベルが分かりません。他社と比較した際、自分たちの実力がどれくらいの位置にあるのかを把握しにくいといった課題がありました。
―学習した結果が「見える化」されることが重要なのですね。
検定試験を導入するうえで、合否判定により習熟度が明確に把握できる点、他社と比較して客観的な評価ができる点に期待していました。また、ビジネスマネジャー検定試験で学べる内容が網羅的であることも導入の決め手となりました。ビジネス全般に関わる知識・スキルを身につけることで、経営視点で物事を見て判断ができるようになり、弊社の創業理念である「正義感を持って世の中の『不』を解消しよう」、経営理念の「もっと何かできるはず」を体現する次世代経営層を育てることができるのではないかと考えました。
丁寧な社内コミュニケーションで、検定試験導入への意欲を高める
実際の問題集やテストに触れ、体感してもらう
―検定試験を導入するにあたっては、御社はどのようなプロセスで進めましたか。
課内での検討後、社長への提案、承認を経て決定しました。社長・島田に導入の提案をする際にはビジネスマネジャー検定試験のテキストと問題集を渡し、内容や学習範囲を確認してもらいました。
―従業員には、実際にどのように伝えていったのですか。
まずは上級管理職に向けて趣旨や内容について説明を行った上で、課長、係長、それぞれのクラスを対象とした説明会を行いました。課長と係長にはその場で「ビジネスマネジャーBasic Test」を受けてもらい、意識づけを図りました。また、説明会と合わせて社内掲示板でも趣旨説明を行いました。
職階ごとに説明会を実施。検定試験導入の意義を丁寧に説明する
―とてもスムーズに導入されたように見えますが、苦労した点はありますか。
当初は人事制度との連携を行って昇格要件のひとつにしたい、といった構想もあったのですが実現には至らず、受験者にとっての動機づけが弱いのではないか、といった危惧がありました。
―受験者の動機づけについて、どのように乗り越えたのでしょうか。
社内の説明会で、学習する風土を醸成するためには、まず上の立場の者が学ぶ姿勢を見せる率先垂範が必要だということや、検定試験合格が自分の持つ知識・スキルの証明になるといったメリットを伝えました。その結果、検定の回を重ねるごとに認知度が上がり、社内に浸透していきました。その流れを受け、2022年度からは受験対象を課長だけではなく係長にも拡大しました。また、2023年度からは人事制度との連携も進み、上級職への昇格要件の一項目として採用されることになりました。
幅広いマネジメントスキルを身につけ、経営参画への意欲づけを図る
検定試験の魅力は、自分の知識やスキルを客観的に把握し、成長につなげられること
―人材育成のツールとして導入してみて、検定試験にはどんな魅力があると感じていますか。
自分の知識・スキルを客観的に把握できることが大きな魅力ですね。新任の課長にとって、自分には何が足りないのか、課長として活躍するためにどんな知識やスキルが必要なのかを知る道標になっています。また、課長職は全員受験しているため、全部署の課長職の知識レベルが揃い、共通言語が増えたとも感じています。そうした有益性が認知されると、若手社員たちも「課長になったら受けるもの」として前向きに捉えることができ、社内全体で一体となって学ぶ雰囲気が育ってきているのを感じます。
次世代経営層の育成に課題感をもつ企業に勧めたい
―御社での取り組みをふまえ、どんな課題や期待を持つ企業にビジネスマネジャー検定試験の導入をお勧めしたいですか。
私たちはいま、次世代経営層の育成に取り組んでいます。ビジネスマネジャー検定試験の導入もその一環。同様の課題意識をもつ企業には、従業員の”管理職や経営層になるための意識づけ”としてお勧めしたいですね。マネジメント一般に必要な知識やスキルを広く扱っているので、業種や職種は問わず、広くお勧めできます。実際、当社には研究所、工場、本社など様々な部署がありますが、すべての課長職・係長職が受験しています。また、当社はジョブローテーション制をとっていますが、「どの部署に行っても基本的な知識は身についている」という状態にできるのは大きなメリットです。ビジネスマネジャー検定試験を通じてある程度の準備ができることで、安心して職務を果たせるのではないでしょうか。
受験した社員の声
まず、テキストを読んでマネジャーに必要な知識・スキルの概要が理解できたのが良かったですね。過去問もかなり解きました。有志の勉強会を開いたことで、仲間意識も芽生えました。
ビジネスマネジャー検定試験で学習する範囲は幅広く、未経験の領域についても学べるのは大きな魅力です。マネジャーは幅広い知識が求められます。私も受験後、未経験のマーケティングの領域の部署に異動しましたが、ある程度の知識が身についた状態で臨めたことはとても良かったです。ビジネスマネジャー検定試験をきっかけに興味を持って学んだ知識がより立体的になり、日々の業務に役立っています。
(健康食品事業本部 健康食品マーケティング部 事業戦略グループ 課長 田島さん/2020年受験)
企業概要
会社名 | 株式会社ファンケル(FANCL CORPORATION) |
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所在地 | 横浜市中区山下町89-1 |
設 立 | 1981年8月18日 |
売上高 | 103,595百万円(2023年3月期) |
資本金 | 10,795百万円 |
社員数 | 896名 (2023年3月31日現在 契約社員・パートなどは除く) |
※ 掲載内容は2023年6月取材時のものです。