eco検定(環境社会検定試験)とは

大切なことは、eco検定に合格することではなく、それまでのプロセスとその後の取り組み

住友林業株式会社 取締役 常務執行役員

川田 辰巳さん

 住友林業グループは、木のプロフェッショナルとして、人と地球環境にやさしい「木」を活かし、国内外における山林経営・植林事業からグルーバルなネットワークによる調達、流通、製造、加工、さらには住宅建築をはじめとする人々の生活に関するあらゆるサービスの提供に至るまで独自のバリューチェーンを構築している企業である。
 同社は社員教育の一環としてeco検定を推進している。なお、今年開催した「eco-MASTER GRAND PRIX 2018」では、企業部門2位、総合3位を受賞した(チーム:JoooSYS)。今回は、第24回eco検定の合格者であり、同社CSR推進担当役員である川田辰己取締役 常務執行役員にお話を伺った。

企業紹介(住友林業の原点)

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 1691年、愛媛県別子銅山の開坑とともにその銅山備林の経営を担ったのが住友林業の始まりです。銅山経営にあたって、建築用、坑道の坑木や銅の精錬のための薪炭用として不可欠な木材。しかし、19世紀末の別子銅山では、永きにわたる過度な伐採と煙害によって周辺の森林が荒廃の危機を迎えていました。当時の別子支配人・伊庭貞剛は、「国土の恵みを得て事業を続けていながら、その国土を荒廃するに任せておくことは天地の大道に背く。別子全山をあをあをとした姿に返さねばならない」と考え、1894年、失われた森を再生させるため「大造林計画」を開始しました。試行錯誤を繰り返し、多い時には年間200万本を超える大規模な植林を実施した結果、やがて山々は豊かな緑を取り戻すことができたのです。この「国土報恩」の精神に基づく持続可能な森林経営こそ住友林業の事業活動、そしてCSR活動の原点です。

 

eco検定を受験されたきっかけ

 私は2018年4月にCSR推進の担当役員となりました。しばらくすると、私の執務室内の壁にeco検定のポスターが貼られ、その後机には公式テキスト・問題集が置かれていました。(…後日談によると、公式テキスト・問題集は部下の方がこっそり置いたそうです。)
 eco検定のテキストを開いたところ、環境に関して多岐にわたり載っていたため、難しいと感じましたが、ひさしぶりに受験勉強というものをしてみようと思い、受験申込みをしました。当社グループでは試験日約1ヶ月前より、CSR推進室の担当者から、独自分析による予想問題が社内の受験予定者へ配信されるため、このメールをきっかけに勉強への意識付けや理解度の確認ができました。毎日、少しずつ時間をつくり、勉強をかさねた結果、7月試験(第24回)に合格することができました。
 eco検定の試験に向けて勉強をしてきた内容は、今の仕事に繋がっており、公式テキストも手元において適宜、用語の確認などに使っています。「eco検定は、合格することが目的ではなく、環境について広く効率的に学ぶ手段であり、合格までのプロセスやその後の取り組みが大切」だと感じております。

 

住友林業グループ内でのeco検定の位置づけ

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 当社は経営理念に「住友林業グループは、公正、信用を重視し社会を利するという「住友の事業精神」に基づき、人と地球にやさしい「木」を活かし、人々の生活に関するあらゆるサービスを通じて、持続可能で豊かな社会の実現に貢献します。」と掲げております。また、先に述べたとおり、「国土報恩」の精神に基づく持続可能な森林経営を原点としており、環境に関する社員の意識はもともと高いと認識しています。
 一方で、ビジネスの基本的な枠組みが、ESG側面抜きでは成立しない環境において当社グループの事業活動における環境負荷や貢献度を認識し、持続可能な事業戦略を立案し、課題解決をはかることは重要です。そのためには社会背景への認識が社員のボトムアップへの前提であるため、当社では2013年12月より、環境に関して広く知識を習得できるeco検定の受験推進と受験費用の支援を開始しました。また、2016年より昇格グレードの対象資格として人事評価を実施しています。さらに、現在はグループ会社でも受験推進の取り組みが広がってきています。

 

住友林業内での受験者へのフォローについて

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↑予想問題へ掲載している一例。
CSR推進室が配信する予想問題では、eco検定の試験勉強だけで終わるのではなく、グループの事業内容やCSR目標とのつながりを理解できる工夫をしています。

 

合格者からの声

・環境への意識が高まり、世界の取り組みを改めて知ることができた
・テキストの内容は、業務にも通じる内容があった。お客様への営業トークとして役に立ったり、取引先に行った際に、合格したことを話題にもできた。
・今まで言葉は聞いたことがあっても、内容までは知らなかったことへの理解が深まった。ニュースなどで聞いても「あのことか」とスッと頭に入るようになった。

 

今後のeco検定推進について

 環境に関する基礎知識の定着やボトムアップを図るため、今後3年以内に住友林業社員のeco検定合格者割合50%を目指したいと考えています。また、引き続き、グループ会社にも受験推進をしてまいります。

企業概要

会社名 住友林業株式会社
所在地 東京都千代田区
設 立 昭和23年
資本金 327億円 (平成30年3月末)
売上高 12,220億円(平成30年3月末、連結)
社員数 18,195名(平成30年月3月末、連結)
URL 会社HP URL:https://sfc.jp/
サステナビリティレポートURL:https://sfc.jp/information/society/

※ 注:エコユニットとは、分野・事業内容にとらわれず、また、参画人数、規模の区別なく”環境に関する基本的な幅広い知識を持って”活動する人たちの集まりです。eco検定合格者=“エコピープル”2名以上が中心となって積極的に環境活動を行う仲間を募り、企業・事業所(支店・営業所や部署単位でも可)、団体、サークルなどを「エコユニット」として登録いただき、環境活動やビジネスを支援する仕組みです。