社会課題解決と企業価値向上の両立を目指してeco検定を活用する
株式会社セブン&アイ・ホールディングス
執行役員 コーポレートコミュニケーション本部サステナビリティ推進部シニアオフィサー
釣流 まゆみさん
『5つの重点課題』の特定から環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』の公表まで
2014年に、ステークホルダーの方々との対話を通じて、セブン&アイグループとして取り組むべき『5つの重点課題』(以下、重点課題)を特定しました。グループの社会的責務が大きくなる中で、社会課題解決と企業価値向上を両立する企業になろうと、大きく舵を切ろうとしている頃でした。その後、重点課題は2015年にSDGsとも関連付けられ、グループ各社がそれぞれの課題解決に取り組んでいます。
2018年度のグループ売上は12兆円を、グループ全体の国内店舗数は22,000店を超えるまでに成長しましたが、事業活動の拡大に伴い、環境負荷も生じさせています。社会とともに成長していくためには、環境負荷などに関する課題解決にグループ一丸となりサプライチェーン全体で取り組むことが重要であるという認識に立ち、2019年5月に発表したのが環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』(以下、環境宣言)です。
グループ共通のオリジナル商品である「セブンプレミアム」の年間売上は2018年度に1兆4,000億円を超えました。「セブンプレミアム」では、環境に配慮した包材の活用など、環境配慮に取り組んでいます。さらにグループ各社は、重点課題を踏まえたさまざまな取り組みを少しずつ推進してきました。このような流れの中で、満を持して発表したのが環境宣言です。環境宣言にある4つのテーマ別にイノベーションチームを立ち上げ、グループ横断での取り組みを推進する体制を構築しました。
環境宣言の取り組み推進のために
環境宣言への反響は、予想以上に大きく、新規や既存のお取引先様からの環境に配慮した商品のご提案が非常に増えました。また、取材やインタビューの機会も増えました。環境宣言は、例えば、プラスチック製レジ袋の使用量ゼロなど、お客様のご理解やご協力をいただくことで、取り組みがさらに推進されるという側面があります。環境宣言が取り上げられることは、お客様やお取引様に対して、「皆様のご理解があってこそ実現できる」とお伝えできるありがたい機会となっています。
反響を受けて、環境宣言の目標達成に必要な投資を行い、本気でイノベーションを起こさなければならないと痛感しています。接客などの販売段階に加え、企画・生産段階から環境配慮という視点を取り入れることが事業活動のベースとして浸透しつつあります。これは、社内の大きな変化ですが、環境宣言の取り組みは始まったばかりであり、社員や全てのステークホルダーの方々と一緒に考えるための意識改革を更にし続けていかなければなりません。
環境宣言の具体的な取り組みの一つとして、セブン‐イレブンでは循環経済社会を目指し、産官民が連携したペットボトル回収スキームを東京都東大和市で実現しました。この取り組みは東大和市様と日本財団様のご協力をいただいています。グループ店舗などで回収したペットボトルが再生ペットボトルとしてリサイクルされるという仕組みは、お客様にもご理解をいただきやすく、今後は他の自治体様などとの連携もさらに強化していきたいです。
セブン&アイグループにおける当社の役割
近年、グループ各社のCSV*の活動が非常に盛んです。これは、SDGsと事業活動が結びつき、根付き始めたことの現れだと受け止めています。また、グループ内では環境宣言の目標達成が最終目標ではないというメッセージを共有しています。社員には、その先の、持続可能な社会が実現することで初めて小売業も成長できるという関係性を理解してほしいです。
グループ横断で取り組むために、グループ各社や外部から得た情報をグループ内に広げること、グループ各社のよい面を発信していくことが当社の役割です。取り組みたいことはたくさんありますが、まずはグループ各社間の一層の情報共有を図っていきたいです。
*Creating Shared Value:社会的価値と経済的価値の双方を生み出す共通価値の創造
eco検定の受験促進
eco検定の受験促進の理由としては、社会的価値のある学びを通じてグループ内の共通言語を持ちたいとの考えがあります。複数のグループ会社が存在し、社員数も多い中で、グループ横断で取り組むためには共通言語が必要です。環境宣言の公表を機に、社員がeco検定の重要性をより理解しているように感じます。
受験促進には、経営層によるeco検定に取り組む意義や思いが伝わるステートメントが有効です。さらに当社では、受験料の補助などに加え、合格率向上のためのサポートとして、試験日を起算日に公式テキストの進捗の目安を提示する「40日プラン」を作成し、社員に提供しています。また、オリジナルのミニテストや重要ワードの一覧を作成、毎週金曜日に受験者にメールで配信し、受験意欲の向上を図っています。
重要なのは、eco検定の知識を業務にどのように活かすかという点に尽きます。合格後にeco検定の知識を業務に活かせる社員を増やせるように工夫していきたいです。
eco検定の受験を考えている企業へのメッセージ
eco検定の知識を、特別なものとして扱うのではなく、日常に落とし込むことが大切です。当社では、お客様のニーズにお応えするために、eco検定の知識を活かして社会課題解決と企業価値向上の両立を図りたいと考えています。皆様もeco検定をぜひ取り入れてみませんか。
企業概要
会社名 | 株式会社セブン&アイ・ホールディングス |
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所在地 | 東京都千代田区 |
設 立 | 2005年 |
資本金 | 500億円(2019年4月) |
グループ売上※1 | 12兆180億4百万円(2019年2月期、連結) |
従業員数※2 | 144,628名(2019年2月末、連結) |
URL | 会社HP URL:https://www.7andi.com/ CSRレポートURL:https://www.7andi.com/csr.html |
※1 セブン‐イレブン・ジャパンおよび7-Eleven,Inc.における加盟店売上を含む
※2 月間163時間換算の臨時従業員を含む
(2019.10)