eco検定、社員の人材育成に活かす
日進レンタカー株式会社
代表取締役社長 富田純正さん
日進レンタカー株式会社
1969年の創業から2025年で56周年を迎えた。東京・目黒でスタートし、東京湾沿いの京葉工業地帯や京浜工業地帯、さらに内陸へと徐々に拠点を増やしてきた。現在、31カ所の拠点で小型乗用車からメルセデス、クレーン、トラックなど、メーカーを問わず常時100種類ほどの豊富な車種を取り揃え、法人向けを主とするレンタカー事業を展開している。
日進レンタカーは創業時より「お客様と共に繫栄する」を経営理念とし、ハイブリッドやEV、水素自動車などを他社に先駆け導入。目黒区が助成するeco検定にもいち早く手を挙げて積極的に取り組み、社員の人材育成に活かしている。同社の環境への意識、持続可能な社会の実現へ向けた取り組みを、富田純正社長に聞いた。
目次
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■“CO2削減”をモットーにSDGsを積極推進
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■地域・企業と連携し各拠点の緑化活動など環境対策に取り組む
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■社員1人ひとりの意識醸成に eco検定を積極導入
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■eco検定、自ら手を挙げ受験する社員増えた
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■環境意識が高まれば、「直接的な利益にはつながらない事業」の意味を認識できる
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■eco検定も含めたマクロな教育 ミクロ部分は自ら考える人材を

“CO2削減”をモットーにSDGsを積極推進
―これまでの御社の環境に関する取組をお聞かせください。
当社では、国内中小企業としてはいち早くSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを進めてきました。
当時は、まだまだ一般的な企業にSDGsが認知されていなかったため、取り組みを進めるための情報収集も大変で、様々なご縁で辿り着いた大学の先生に上場企業の事例などお話を伺ってやっと進められたという苦労もありました。
SDGsの17ある目標のうち、特に注力する5つの目標を定めて、全社員に周知徹底するとともに行動に移してきました。
特に、環境保全の観点から、開発目標の7『エネルギーをみんなに そしてクリーンに』について積極的に取り組み、国土交通省認定の低排出ガス車やトヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」などを他社に先駆けて導入しております。
世の中にあるものを買って、人に貸すのが当社のビジネス。“CO2削減”をモットーとして掲げるなかで、何を商品として揃え、お客さまに乗っていただくよう推進するかが重要だと私たちは考えております。
地域・企業と連携し各拠点の緑化活動など環境対策に取り組む
―地域に根差した経営姿勢と環境意識の両立も印象的です。
各拠点の空いたスペースに季節ごとの花木を植え、地域緑化にも取り組んでいます。
近隣や地域の方にも喜んでいただけるように、車両を並べるだけではなく、できるだけ清潔感のある明るい環境を作り出す工夫をしています。
せっかくならそこに地域の方にも喜んでいただけるよう、植樹をしようと郊外の拠点を中心に色んな花木を植えています。
地域の緑化に貢献するだけでなく、例えばコーポレートカラーである黄色い花を植えれば、広告の役割も果たします。
花木の世話をこまめに行うことで、従業員の環境意識向上に繋がるだけでなく、B to Bがメイン事業のため普段接することが少ない近隣のお客さまにも、我々のサービス業としての心が通じると考えています。

社員1人ひとりの意識醸成に eco検定を導入
―eco検定を導入していますが、導入の経緯をお聞かせください
もともとSDGsへの取り組みを進める中で、全社員に対して独自作成の社内教材を使用した教育を行っておりました。
そのような中、当社が本社を構える目黒区で、区内事業者への『eco検定助成事業』がスタートしたことを聞いて、社員1人ひとりの環境への意識をさらに高めるきっかけになるのではと思い、eco検定を導入しました。
助成事業では、受験にかかる費用の半額を区に助成していただけます。当社では、この助成事業に加え、社員がeco検定をより受けやすくするために残りの受験料を会社負担とし、無料で検定試験に挑戦できるようにしています。
eco検定、自ら手を挙げ受験する社員増えた
―eco検定の導入でどのような成果がありましたか
社員1人ひとりの自主性を鍛えるのが、当社の人材育成の方針なのですが、eco検定受験も含めた“環境”への意識向上はそうした人材育成に寄与していると思います。
受験にあたっては、本社から情報を発信し、各営業店舗からも受験希望者を募っているのですが、募集に先んじて本社へ受験について問い合わせるなどeco検定に関心を持つ社員は増えており、合格した人は一つの“資格”として喜んでいます。
エコピープル(eco検定合格者)限定で名刺にエコピープルマークも載せており、「合格」という実績が目に見える形で残ることからも社員の意識醸成には非常にいい検定だと思っています。
まだ受けていない人の受験を促すなど、今後も地域や拠点を問わず全社員に検定のことを周知し、継続して取り組んでいきたいと考えています。

環境意識が高まれば、「直接的な利益にはつながらない事業」の意味を認識できる
―既に環境事業に関する様々な取り組みをされています。eco検定とともに、どのように社員の環境意識醸成につなげますか
放置されている車を無料で引き取る『廃車deエコ』キャンペーンを数年にわたって実施しており、これは社員の環境意識の醸成に役立っています。
具体的には、旧型の社有車、自家用車をきちんと廃車することで不要な車の回収に貢献しています。
自動車にはタイヤのゴム部分などの産業廃棄物、車両本体の鉄くずやガソリンといった環境に有害な物質が含まれているため、不要な車の放置は環境汚染に繋がる可能性があります。
そのため、廃車を通して“環境負荷低減へお互いに協力しましょう”と、個人から企業まで広く呼びかけています。
廃車した上で必要であれば、当社の車を借りてもいい。
これは直接的な利益にはつながりませんが、社会貢献の一環として取り組んでいます。
『廃車deエコ』キャンペーンは、以前より取り組んでいる活動ですが、多くの社員がeco検定を受験して環境への意識が高まれば、こうした活動の意味をきちんと認識し、当たり前のように受け入れられるようになると思います。
また、学んだことを応用した新しいアイデアが生まれ、サービスが進化するなどお客様とのコミュニケーションに活かせると期待しています。
eco検定も含めたマクロな教育 ミクロ部分は自ら考える人材を

―eco検定の趣旨にも沿う人材の育成は非常に重要ですね
社会の状況は常に目まぐるしく変わります。それに合わせて、自分が何をできるのか。社員1人ひとりが最善を尽くすことが一番の接客です。
eco検定の積極受験なども含めて会社としてマクロの教育をし、ミクロの部分は各自で考えて動く。
一番前の車両が後ろの客車をけん引するより、各自が自走するリニアモーター的な発想をした方が、サービス向上につながると考えています。
当社では、今後、環境に貢献できるレンタカー事業を通じて自社の取り組みを知ってもらい、幅広い業界へ向け、環境意識を高めるための行動を呼びかけていきたいと考えています。
例えば、当社で積極的に導入しているハイブリッド車についても、環境に優しいだけでなく燃費も良く、お客様の経済的なメリットも大きいため喜ばれています。
実際に、ガソリンが100円程度だった時代と比較すると、一般車の燃費は約10km/Lから約30㎞/Lと3倍まで良くなっています。高騰が騒がれているガソリンでも3倍まで値段が上がっていないことを鑑みると、燃費が良く「環境に優しい車」を選択することにより、最終的には経済的にも大きなメリットを得られることが分かるかと思います。
そのため、「環境に優しい車両にお乗りください」とお話しすれば、利用時のコストは少々高くても、導入される企業は多いです。
また、電気自動車についても現在の日本では伸び悩んでいますが、社会的に脱炭素が推進される中で、CO2排出量を大幅に削減できる「環境に優しい車」として、将来は確実に普及の道を辿っていくと考えています。
このように、今後はより一層、環境に優しい車を先駆けて取り入れ、それを世の中の1人でも多くの方に使っていただき、お客様も当社も社会にとってもプラスになる提案をすることが、レンタカー事業者としての“環境、カーボンニュートラルへ向けた貢献”に繋がるのではと思っています。
環境性能の高い、燃費のいい車を1台でも多く世の中に浸透させる。
それが、当社の役割だと考えています。
―目黒区では環境活動推進の一環として、区内事業者向けにeco検定の受験料半額助成を実施しています。日進レンタカー様はその制度をいち早く導入し、社内の環境意識向上にご活用いただいております。目黒区内の事業者様はぜひ来年度以降、本制度の活用をご検討ください!
本日はありがとうございました。
企業概要
会社名 | 日進レンタカー株式会社 |
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所在地 | 東京都目黒区 |
創 業 | 1969年8月 |
資本金 | 1億円 |
従業員数 | 170名 |
URL | http://www.21rentacar.com/company.html |
※ 掲載内容は2025年9月取材時のものです。