eco検定の広がり
エコピープル支援事業

エコピープル・アクションレポート

羽田 大剛

フロンガスの再生処理を推進し地球温暖化抑制に貢献

羽田 大剛

埼玉県

PROFILE

所属法人
株式会社エム・ゼット
活動エリア
埼玉県越谷市
年齢
39歳
eco検定合格年
2023年(第34回)

01.企業紹介

株式会社エム・ゼットは、空調・電気設備工事を20年前から実施してきましたが、2016年に行われたモントリオール議定書締約国会議にて、HFC全17種類の規制追加とHFC-23の生産・消費規制および排出の破壊の追加がされたキガリ改正を機に、空調更新工事で回収しているフロンガスの処理まで意識を向け、破壊処理ではなく再生処理を積極的に実施し、処理時のCO2削減に貢献しています。そして2023年に日本での取り組みと同じ内容をベトナムで開始しました。ベトナムではフロンガスを全て大気に放出しており、回収並びに再生処理業者の第1号として出店を果たしフロンガスの回収に関する知見を広めています。

02.eco検定へのきっかけ

我々はフロンガスのサーキュラーエコノミーを掲げ再生処理を中心に活動してきましたが、地球温暖化が食い止められた先にどのような未来が待っているのかをしっかりと理解出来ていませんでした。そんなときにeco検定を知り、もっと深く環境問題について勉強し、地球温暖化を抑制した先の未来を社員に伝え、我々が行っている事業が本当に地球を守っているのだと認識してもらう。そして各々のモチベーションを上げ更なる好循環を目指す為、地球温暖化対策の真の活動家になりたいと考え検定を受けました。

03.エコピープルとしての活動

フロンガスはモントリオール議定書並びにキガリ改正により、これから生産・輸入が大幅に削減されていくことが分かっており、入手困難な状況となっていく事が予想されています。エム・ゼットグループは、そんなフロンガスを破壊せず、再生処理させ、再び新しい機器へフロンガスを充填させるフロンガスの資源循環を目指しています。

しかし、「再生」と聞くと新品より質が悪い、再生するときのエネルギー量が大きい等マイナスなイメージを持たれると思います。
研究結果(Sustainability誌)でもフロンガス(R410A)を破壊処理+新規製造するよりも、再生処理を実施した方がGHG排出量を約1/7、エネルギー消費量も約1/22に抑えることが出来、地球温暖化対策に対しても有効です。
また、フロンガスを封入している容器についても、主流となっているNRC容器(使い捨て)ではなく、RC容器(リユース)を積極的に採用し、何度も使用する事が出来るため、廃棄物削減や残ガスの大気放出削減を行い徹底的に環境問題と向き合っています。

さらに、フロンガスのデジタルプラットフォームも推進しており、フロンガスの破壊・再生方法や量、充填量等の情報を全てデータ管理しており、行程管理票や引取証明書等全てデータで提出する事が出来、紙の削減にも貢献しています。その集積したデータは各取引会社様へ報告し、再生したことによるCO2削減量も記載されている為、非財務情報としても活用して頂いております。

04.エコピープルとしての今後の活動計画

我々の活動計画は2点あります。

①  フロンガスの再生率を向上させ、GHG(温室効果ガス)排出量低減を図ります。
②  NRC容器からRC容器に切替え、産業廃棄物の削減を図ります。

①については、年間の目標として、前年のフロン再生率から1%向上させます。
一般的な空調業者様のフロン再生率は、60~70%となっています。しかし我々の2022年1月~12月の再生率は全体で93.5%であり、とても高いです。これはちょっとした技術を用いる事によって再生率を向上させる事が出来ます。
我々の再生率を向上させる事はもちろんの事、広くこの技術を動画で紹介し日本全体の「フロン再生への関心」「回収率向上」にも貢献していきます。

②については、我々の中で既に100%を達成しています。
これからの目標は、このRC容器を利用して下さる企業様を増やしていく事です。価格もNRC容器よりもRC容器の方が安く購入できます。返却する必要がある等のデメリットもありますが、デジタルプラットフォームを使用する事により、容器管理も併せて実施できる事でのメリットなども伝えていきます。

05.社会へのメッセージ

フロンガスは、GWP(地球温暖化係数)がCO2よりも数百~数千倍と非常に高く、いずれかは破壊していかなければならない物質です。またフロンに代わるグリーン冷媒も開発が進み徐々に世の中に出てきています。しかし、グリーン冷媒の問題もまだまだ解消されておらず、フロンに頼らなければならない状況が数年続きます。その間もフロンの需要はあり続ける中、破壊して新しく製造するのではなく、地上に出回っているフロンを確実に回収し、再生し再度充填するサーキュラーエコノミーを推進する事により、大幅にGHGを削減する事が出来ます。

アジア諸国を含む多くの海外では、フロンは回収される事なく大気に放出されています。この日本の技術や仕組みを確実に実施させ、日本がお手本として、海外に発信し支援していきたいと考えています。
是非この取組に興味を持っていただき、一緒に取り組んでいきましょう。

06.eco検定受験者、学生へのメッセージ

日本では環境問題についての教育が行われているため、国民の殆どがある程度の関心があると思っています。しかし、アジア諸国を含む海外では、全くそのような教育を受けられていないのが現状です。
日本人が得た知識をより多くの人々に伝え、実践する事により、自分ではどうしようも出来ない課題も多くの力で解決できるようになると考えています。
是非、試験を受けただけで終わる事なく、活用し一緒に環境問題への取組に積極的に関わっていきましょう。

※この情報は 2023年10月27日時点での内容です。