eco検定(環境社会検定試験)とは

「エコピープル」であることが中小企業の強みに

株式会社エコリカ

企画・サポート部兼法人営業部 松田憲昌さん

株式会社エコリカ

2003年創業。使用済みインクカートリッジを家電量販店の店頭で回収し、リユース販売するシステムを日本国内ではじめて確立。累計販売数は約2億個に達し、市場シェアは互換品のみで1位(約70%)メーカー純正品も含む全体では3位(約10%)を占める。LED照明やリサイクルトナーも取り扱う。

 

 

株式会社エコリカは、eco検定の取得を社員の必須条件にしている。2022年11月には「eco検定アワード2022」でエコユニット部門優秀賞を受賞。eco検定の社内浸透や、生物多様性保全活動の推進、CO²削減に向けた取り組みなどが評価された。「事業そのものがSDGs」を掲げ、なおかつ数十名規模の中小企業であるエコリカにとって、eco検定やeco検定アワードは極めて重要な意味を持つという。その意図するところを、企画・サポート部兼法人営業部の松田憲昌さんに伺った。

 

 

目次

  1. ■社員の名刺にecoピープルマークと合格者番号を記載

  2. ■自信を持って商品提案ができるように

  3. ■「エコリカの事業そのものがSDGs

  4. ■アワード受賞が活動を広げるきっかけに

  5. ■「危機感」がチャレンジを後押しし成長へ

 

 

社員の名刺にecoピープルマークと合格者番号を記載

―eco検定の取得を社員の必須条件にしているそうです。その狙いを改めてお聞かせください。

エコリカという社名は「エコロジー&エコノミー・リサイクル・カンパニー」を意味し、「人と地球に貢献します」を合言葉にリユースインクカートリッジをはじめとするエコに関連する商品を開発・販売しています。そんな私たちにとって環境の知識は必要不可欠ということで、2020年からeco検定に取り組んできました。

現在はeco検定を社員必須の資格と位置づけ、業務・営業部門は全員が取得しています。新入社員も入社2年目までには必ず受験し、名刺にecoピープルマークと合格者番号を入れています。

 

 

自信を持って商品提案ができるように

―eco検定の社内浸透によって、どのようなメリットが得られましたか。

eco検定の受験勉強を通して、社員皆が環境に関する知識を網羅的に身に付けることができました。知識を得たことによって、これまで以上に強い自信と確信を持ってエコリカの商品やサービスを勧められるようになったことは、大きなメリットです。

私たちのビジネスは、家電量販店の店頭に使用済みカートリッジの回収ボックスを置いてもらうことから始まります。店舗にリユースの重要性を説明し納得してもらう必要がありますが、そこで知識に裏付けられた対話ができるかは、とても重要です。

企業やエンドユーザーに商品提案を行う機会も増えましたが、質問に的確に答えられるようになりました。環境に対する意識は社会全体で高まっており、それぞれのユーザーが抱える課題に最適なソリューションを提供するためにも、eco検定はますます重要な取り組みになるでしょう。

 

 

エコリカの事業そのものがSDGs

―改めて、エコリカ様の取り組みをお聞かせください。

20年ほど前まで、インクカートリッジのプラスチックは焼却されたり廃棄されたりするのが当たり前でした。そこにエコリカが国内ではじめて、家電量販店を通じたインクカートリッジのリユースシステムを実現しました。

これまで販売してきたリユースインクカートリッジは、累計約2億個以上です。1個あたりに使うプラスチック量を平均20グラムとすれば約5000トンの石油系資源の節約に、CO2排出量に換算すると年間約2000トン相当を削減した計算になります。

使用するインクは安全性を検査するAmes試験をクリアした上でSDS(化学物質等安全データシート)も公開し、再生インクカートリッジ部門初の「エコマーク」を取得しました。

さらに、社長の出身地である岐阜県郡上市に回収センターを設置し、海外ではフィリピン、国内では山梨にカートリッジの製造拠点を設け、大阪府内の障がい者就労施設に回収・仕分け業務を依頼するなど、雇用創出を通した地域貢献にも力を入れています。

まさにエコリカの事業そのものがSDGsであり、その担い手である私たちが「エコピープル」(eco検定合格者)であることは必然と考えています。

 

 

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リユースによって環境負荷を軽減、回収ボックスを置く販売店には手数料を支払い回収費用はエコリカが負担
エンドユーザーには安価で高品質な製品を提供することで「三方よし」のシステムを実現


 

アワード受賞が活動を広げるきっかけに

―2022年11月には「eco検定アワード2022」で、エコユニット部門優秀賞を受賞しました。

eco検定の取り組みを進める中でアワードの存在を知りました。そして社内から「応募してみよう」という声が上がり、嬉しいことに受賞となりました。

エコリカは2009年の「地球環境大賞」(フジサンケイグループ)を皮切りに、さまざまな環境関連の賞を受賞しています。直近ではeco検定アワードに続いて2024年の「第12回環境省グッドライフアワード」において、環境大臣賞・企業部門を受賞しました。

これらの受賞は、エコリカの取り組みが優れているという客観性の証明になります。単に「私たちは頑張っています」というだけでは、なかなか世間に認められません。企業の知名度や信用度の向上には、第三者の目で評価されることが重要です。大企業でもそうだと思いますが、私たち中小企業は特にその点を感じています。

 

 

 

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「eco検定アワード2022」を受賞。左がエコリカの宗廣宗三社長


 

―実際に「eco検定アワード」を含むさまざまな賞を受賞したことで、どのような変化やメリットが得られましたか。

エコリカの名前が広く知られるようになり、さまざまな方面からお声がけをいただく機会が増えました。

大阪には中小企業が多く集まっており、もとより横のつながりが強い地域性があります。特に受賞した後は「こんな課題はどうすればよいか」といった相談の電話をいただいたり「一度話を聞かせてほしい」と直接来社されたりと、色々な企業との交流の輪が広がっています。

エコリカは、2023年11月に発足した「国際プラスチック条約企業連合(日本)」の立ち上げメンバーにもなりました。とあるリサイクル関連の勉強会でたまたま声をかけられたのがきっかけで、参画10社の中で唯一の中小企業です。

同連合の事務局を務めるWWF(世界自然保護基金)ジャパンが推薦してくれたことも、参画の後押しになりました。エコリカは創業時から製品が1個売れるごとにWWFジャパンに1円を寄付する活動を続けており、2023年にちょうど累計額が1億円を超えたところでした。

 

 

 

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WWFジャパンへの寄付は1億円に。同団体が事務局を務める「国際プラスチック条約企業連合」へ参画


 

「危機感」がチャレンジを後押しし成長へ

――開催中(2025年10月13日まで)の大阪・関西万博では「TEAM EXPO 2025」プログラムの共創パートナーになっていますね。

エコリカはOZCaF(OSAKAゼロカーボン・スマートシティ・ファウンデーション)という、大阪から脱炭素社会を目指す官民ネットワークの一員です。そこで一緒に活動している企業に声をかけられ、共創パートナーへの参画を決めました。

「TEAM EXPO 2025」プログラムとは、個人や団体がチームを組んで万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」やSDGsの達成に向けたアクションを行う参加型のプログラムです。エコリカは協賛金や景品の提供を通して、万博の盛り上げに一役買っています。

よく「エコリカは中小企業なのに、どうしてそんなに色々な活動ができるのか」と不思議がられるのですが、日頃から攻めの姿勢を崩さずにチャレンジを続けていれば、さまざまなチャンスが巡ってくるということだと思います。

 

 

 

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大阪万博ではスペシャルパートナー企業として、脱炭素につながるアクションを応援


 

――人財などのリソースが限られる中小企業に「チャレンジ」が大切なことが、改めてわかりました。

創業から22年、人々の環境に対する意識の高まりや2015年のSDGs採択など、社会の追い風もありエコリカの事業は軌道に乗ってきました。しかしながら、毎年同じことをしていては成長が止まってしまうという危機感は、社員全員が常に共有しています。

去年より今年、今年より来年と、常に「背伸び」をする姿勢が大切ではないでしょうか。

私たちは、「環境への配慮」と「事業の持続可能性」を両立させることに、日々挑戦してきました。

簡単な道ではありませんでしたが、小さな一歩の積み重ねが、社会やお客様、そして私たち自身の未来を変えていくことを実感しています。

中小企業だからこそできる柔軟な発想とスピード感、地域との深いつながり。その力は、これからの持続可能な社会に欠かせない存在と考えておりますのでともに、持続可能で誇れる未来をつくっていきましょう。

 

――エコリカ様がご受賞された、東京商工会議所主催の「eco検定アワード」は2025年度も開催予定です。
エコリカ様のように、自社の取り組みを広く周知し、客観的な評価や新たなビジネス・交流の契機を得る機会として、企業規模に関わらず、多くの企業・団体のご応募をお待ちしております。
本日はありがとうございました。



(※)「eco検定アワード」とは

東京商工会議所は2008年から毎年、他の模範となる環境活動を実践したエコユニットの実績を称える「eco検定アワード」を実施しています。優れた実績を顕彰・周知することで、より多くの企業や団体が、積極的に環境に関する知識を身に付け、実際にアクションをおこす一助としてもらうことを目的としています。
2025年度「eco検定アワード」のエントリーは8月から受付開始いたします。
eco検定合格者(=エコピープル)2名以上でエコユニットとしてご登録のうえ、是非貴社・貴団体の環境活動を「eco検定アワード」へ応募してみませんか。

eco検定アワードの詳細はこちら
※エントリー期間 2025年8月4日(月)~10月31日(金)

 

 

★エコリカ様は、「eco検定アワード2022」エコユニット部門において優秀賞を受賞されました!
受賞した活動内容の詳細はこちらから
https://kentei.tokyo-cci.or.jp/eco/people/award/2022.html

企業概要

会社名 株式会社エコリカ
所在地 大阪府大阪市
創 立 2003年
資本金 3000万円
売上高 非公表
間接部門従業員数 15人(2025年6月現在)
URL https://www.ecorica.jp/
※ 掲載内容は2025年6月取材時のものです。